いつも通り
いつも通りに行ってきなさい
娘の担任の言葉だ。
いよいよ、高校受験の、第一希望、第二希望、併願優遇を決めて、担任と娘と私の三者面談となった時。
いつも通りに行ってきなさい。
もし、ミスをしたら、それもいつも通りのミス。焦って他の科目で挽回しようとか思わなくていい。全てがいつも通り。落ち着いて行ってきなさい。
と言われた。
これは、素晴らしいアドバイスだった。
自分の得意な問題が出るか出ないかの、運、不運はあるかもしれない。
でも、いつも以上の結果を出すようなミラクルは、まず無い。
知人に、中三で、過保護だ、という人もいたが、当日は、高校の門まで送った。
いつも乗らない電車に乗って、たまたま大きな遅延でもあってパニックにでもなられたら、おしまいだから。
「いつも通り」の娘に、とにかく試験を受けさせなければならない。
駅につくと、なんと塾の先生が二人もいらしていた。でも、有難いことに、ただ静かに「頑張って」と握手するのみ。若いサラリーマンみたいな姿であやうく、通り過ぎるところだった。なんだか緊張が少しほどけたように、娘は笑顔だった。
門につくと、保護者が結構いたが、校舎に向かう娘の後ろ姿を見送って、私はすぐに教会に向かった。
ミサがある時間でないことはわかっていたが、私に出来ることは、もう祈ることしかなかった。