世間に

娘が小学校にあがり、バスや電車を使って通学が始まった。

私はお金はなかったけど、娘が通学に慣れるまで仕事はしない、と決めていた。

朝早く、寝ぼけ眼の娘におにぎりを持たせる。お弁当じゃない。朝ごはん。

一口でも食べないと、学校には出さない。

学校の門まで送り、門まで迎えに出る日々。

そのうち、バスは自分ひとり、帰りのここまでひとり、、、と送り迎えを短くしていく。

ある日、帰り道の途中に迎えに行くと、いつも一緒の子のひとりが、いない。

その子のママは青ざめている。

みんなでおろおろしたけど、次のバスでその子は降りてきて、ママに泣きながら抱きついた。

バス停にして3つ分のひとり下校だった。

よくがんばったね、と他のママが言いかけた時に

そのママは、子供達に振り返り、言った

「あんた達、ちゃんと待っててよ！」

え？

その後、ひとり下校の武勇伝のせいか、ママの脅し(笑)のせいか、その子はかなりの番長に、、、(笑)

バスや電車で騒げば苦情が入る。

気を付けないと、、誰かママがひとり同乗する？、、、、と、井戸端会議。

すると

「もう、あとは、世間に育てていただいて、、」

え？

そうかなあ、、、。

このやりとりが原因ではないのだけど、しばらくして、娘は通学にバスを使わなくなった。

いろいろ失敗もして、世の中を知る、それは誰でもある。

でも、私は   世間に育ててもらう  と言う言い方は好きじゃない。

自分の子は自分で育てたい。

世間に出しても恥ずかしくない、そんな子を育てたいって、思う。

まあ、こんなアタシが、どこまで育てられるのか、あやしいけども。

まあ、娘は、もう17歳だから、そろそろ選挙権もくるし、結婚だって出来るんだけどね。

世間を知らないのも困る。

でも、丸投げするわけにいかない。