おとなげない
いらいらしている。
もうすぐ娘の学習旅行。4泊5日の旅だ。
こういった団体旅行は、これで最後だろうし、女の子だし、鞄や洋服、いろいろ可愛くしたいだろうと、一年も前から考えて、少しずつ用意してきた。一度に用意する余裕がないからだ。
そうはいっても、2日前には、もしもの為に予備のメガネを作った。洋服も買った。肌触りのよいタオルは買って使わずにとってある。
ちょっと誤算だったのは、全日制服ということ。ホテルでジャージなどのラフすぎる格好はダメ、ということだった。逆に、グレードが高いホテルだから、タオルも洗面具もいらない。
小学校の頃から、3泊くらいの合宿、移動教室で慣れている娘は、荷造りはうまい。タオルや靴下を使って隙間を膿めたり、上手に荷造りをする。
そこで、まず私が用意した鞄が大きすぎるのではないか、と娘は少々不満そうだった。
でも、日中の防寒着や夜羽織るものなどを考え、更に帰りにお土産が増えることから、私は、わざわざこの為に用意したこの大きさの鞄をお蔵入りにする気はなかった。ぎゅうぎゅうにつめてシワのよった洋服も着せたくなかったから。
ところが、そこに思わぬ者が乱入したのだ。
家庭教師である。
元々、教員だったから、自分の学生時代に加え、教え子達の修学旅行の数々、更には趣味の旅行で「こんなデカい鞄、いらない」
と、演説が始まった。
僕なんかは海外に1週間でももっと小さい鞄だ。必要ない、必要ない。旅なれてる人は小さい鞄でさっとね。、、、、
イライラした。
こういう時に、荷造りの練習させなきゃ!そういうのも勉強なんだよ!
に、とうとうキレた。
「別に荷造りが下手だから大きな鞄が必要なわけじゃありません。鞄はこれ!これでいいんです!一年も前から準備してきたのに!」
あまりの剣幕に
え?わざわざ買ったの?そう、、、じゃ仕方ないな。
イライラした。仕方ないってなに?と涙が出そうになった。たかだか鞄ひとつで。
その後も散々しおりを見て文句をつけて、家庭教師は帰って行った。
娘に、鞄の中をみてごらん。これからまだ着替えをいれるのに、今の時点でこれだけ荷物はあるんだよ。と言うと
鞄の中を確かめ
「いいよ。これで別に、、」
私は他人にあれこれ言われている私に何のアクションもとらなかった娘にも頭にきていた。いいよ、別に?別にってなんだ?
寝ようとする娘に
「せっかくいろいろ考えているのに、人をバカにして!そんなに小さい鞄がいいならポシェットで行きなさい!」
と叫んで、その日は終わった。
言い過ぎたとは思っている。
肉親でも、こちらの気持ちが伝わらないこともある。
だが、私が鞄を買って帰ってきた時、娘は大喜びしたし、気分よく旅行に行ってほしいと思っている私の気持ちは伝わっていると思っていた。
旅行に行く前に、キチンと話をしなければならない。