銀の匙
夏目漱石が絶賛し、読者が選ぶ小説○○!のような時に上位にあるのに
若い頃読んで感動した とか
好きな小説 とか
この作家のファン とか
そういう時に、銀の匙 と言う人に私は今まで会ったことがない。
名門灘高の国語で三年間銀の匙だけを読む授業が行われたことでも知られている。
決して厚くない分量であるので、三年間で読むとしたら、言葉の奥、行間、空白部分まで読込む作業になるだろう。
さて、銀の匙であるが、私の段ボールに詰め込んだ本の中から探すのが億劫で、数年前に新たに買い求め、「さりげなく」娘の書棚に入れておいた。
しかし、中学生だった娘は、読者は好きでも、なかなか手が伸びずにいた。
教科書で太宰治の「走れメロス」を読んだせいでもないだろうが、いつの前にか、人間失格(太宰治)、それから(夏目漱石)など、所謂名著名作を読むようになっていく中で、一度は銀の匙も読み始めたようだが、途中で本棚に戻っていた。
高校に入学して、益々通学の電車の中では読書が楽しみな娘。
ちょうど読む本が在庫切れで、銀の匙を手にとったというのだが
「とてもよい本だった。私、漱石より好きかも」
漱石崇拝者の私としてはビミョーだけど
銀の匙をよい本だ、と言う娘に、かなり感動している。