土鍋ご飯
我が家には炊飯器がない。
娘が4歳位だった時、炊飯器の調子が悪くなったのだが、何合炊きにするか、迷っていた。
もう、お弁当を作るにしても、娘とふたりきりだったし。
そこで、土鍋で炊いて、黙って出したら、娘が「お母さん、今日のご飯、おいしいね。」と言ったのだ。
「そのお鍋でつくったの?」とおかわりをした娘。
炊飯器、買うのやめた!と思って、それから、我が家は、土鍋でご飯を炊いている。
朝、寝坊したら、、、という恐怖はあるけど、なんとか10年以上、過ぎた。
中学に入って、家庭科の調理室に入った娘は、「わー、すごーい、タイマーが付いてる!」と言って、まわりの友達をびっくりさせた。
狭い台所に立たせることなく、育ててしまったので、やがて進学先の近くで自炊するかもしれないし、いつかは嫁に出さねばならないことを考えると、、、、
ごめんね、娘~。
でも、なんとかなると思ってるんだよね、実は。
外食すると、「米がまずい」という娘。
味がわかるなら、料理はなんとかなるだろう。
コックになるわけでもなし、土鍋で美味しいご飯が炊けたら、あとはなんとかなる。
あと、数年後、小さな土鍋を娘に渡す日を、少し淋しい予感とともに、私は楽しみに待っている。