二回目の「今からですか?」
塾の説明を聞きに行ったのは、中学2年の冬。
大手の塾だが、たまたま我が家の近くに、開校したのを知っていたので。
校長自ら、面談してくれたのはよいが、所謂受験塾の経験もなく、忘れもしない小学校受験の際聞いた「今からですか」のセリフをまた聞くことになった。
学力テストをして、所属クラスを決めるという。
娘は、内心、上のクラスへの期待がないわけではなかったと思う。
小学校から「いい学校に行ってるのね」とちやほや言われてきたんだから。
結果は、下のクラス、特に英語は壊滅的だった。
学校で、学年全体のだいたいの順位がでるようになってきていたので、さすがに、我が家も焦っていた。
でも、娘には
塾の上のクラスに行くことを目的にしないこと。塾に通うのは、高校に合格するのが目的なのだから、塾に踊らされないこと。塾は利用するところだよ。
と言った。
実はこの頃、私は転職もした。
というか、やっとつかんだベンチャーでの正社員の立場を捨てた。
理由はいろいろあったけれど、(娘のことより、自分の問題)、時間の短い非常勤の仕事に転職した。
そのおかげで、中学から帰宅する娘より早く帰れるから、家で待ち、ドーナツやお団子、時には焼き鳥などを食べさせて、塾に送り出すことが出来た。
ちょっとしたおしゃべりをしながら、おやつを頬張る娘を眺めながら、幼稚園の頃の娘を思い出していた。
定期や保険をほとんど解約し、指輪まで売って、仕事は今はしない、子育てをする、と腹をくくった頃を。
この子の望む道に進ませてやりたい。
受験は、今からでも、きっと間に合う、そう思うしかなかった。