娘の気持ち
小学校に入って、縦割りの活動や、地域班(住んでいる地域でまとまる)の活動で、優しく頼りになるお兄さんやお姉さんが出来て、娘は、それはそれは嬉しそうだった。
その喜びは、自分が大きくなる毎に、先輩への感謝、低学年への愛情として、引き継がれていく。
娘が四年生の時、卒業生を送る会で、当時流行りの歌を歌う話がでた時
娘が夜、泣きながら「あの歌は嫌だ、送る会に出たくない。」と言う。
確かに歌の内容は、先輩に贈る内容ではなかった。なるほど。
そこで、もう決まったのか、と聞くと、明日話し合いで決めるのだけど、たぶんそれになるだろう、なにしろクラスのリーダー格の男児がノリノリだ、という。
ふーん、じゃ、出なくていい。お休みの連絡帳書いてあげる。
娘は、涙が引っ込むくらい驚いている。
おかあさんも、あなたの言う通り、その歌は六年生に贈る内容ではないと思う。
だから、休んでいい。
ただし、話し合いでは必ず発言しなさい。
この歌を先輩に歌うのは失礼だと思うから反対します!と。
それでもクラスの意見で、その歌に決まったら、休んでいい。
わかった?必ず意見を言いなさい。
娘は、割と大人しい性格で、自分の考えをごり押しするタイプではない。(高校生になった今も)
でも、考えがないわけではないのだ。
今は、我慢をする時ではない。堂々と主張しなくてはならないんだよ。
翌日、娘はほっとした表情で帰ってきた。
「あのね、ちゃんと、てをあげて、反対したの。六年生に失礼だって。」
娘が発言すると、次々と娘に賛同の声があがったのだそうだ。
ほとんど決まりかけていた歌は、却下されたのだった。
こうして
私は、お休みの連絡帳を書かずに済み、娘は自分の考えを声に出して、ほんの少し、大人になった。