パリ ノートルダム
朝、ニュースで流れる映像に、一瞬、「映画かなにかのCGか」と思った。
ノートルダムが燃えている。
尖塔が焼け落ちる。
信じられなかった。
来週は、復活祭だというのに。
神よ、これは、何のメッセージなのか。
私が、そこにいたのは、24歳の秋。
ほの暗い聖堂に入ると、高い蝙蝠天井。ステンドグラス。圧倒的な光と闇の深い底に突然投げ込まれたような感覚に取り囲まれたのを、今も鮮明に思い出せる。
目眩の如く、私は、ずっと昔から、ここにいた、と思った。
その約15年後に、洗礼を受けることになるとは微塵も思わなかったが、きっと、あれは、分かれ道で、ノートルダムの中で、私はカトリックへ向かう道を選んだのかもしれない。
いや、違う道の方を、何かが塞いだのかも。
再建にかかる年月は、30年とも50年とも言われる。
あの聖堂が甦る日、私は、パリどころか、この世にいないのだろうな。
それでも、聖堂の「復活」を祈りながら生きていこう。