小学校受験9
さて、今は試験内容も変わってきたようだが、娘が受験した時は、全く親の出番はなかった。願書書いたり、くじひいたりするだけで、考査の際は、親は100%関係なかった。
その時の試験は、娘の場合、「行動観察」というものだった。
番号順に、大きな部屋に連れていかれたあと、何人かのグループに分けてゲームをしたり、平均台を上ったりはしたようだ。
でも、いろいろな遊び道具があるなかで、好きに遊ばせ、それを観察して合否を決めたらしい。
後にわかったことだが、これは、落とす為の観察ではない。
正しい答を求めているのでもないらしい。
娘によると、5人位のグループになり、相談して答を出すゲームがあった。箱に手をいれて、中の縫いぐるみが、何の動物かあてるのだ。答は相談して「せーの!」で答えたそうだ。正解でも不正解でも、みんなで答える様子を見られていたと思う。
おままごとや、絵本、ボールゲームなど、いくつかブースがあって、短い時間ながら、好きなところで遊べる時間もあったという。
中でも一番人気は、的にボールをあてるゲームコーナー。
娘もそこに行ったが、いちはやくボールを掴んだ子たちは、投げては返ってくるボールを次々掴んで離さない。
うちのどんくさい娘に、待てど暮らせど順番は来ない。
が!そこに、いつもの娘の性格が幸いしたのだ。
いいなぁ~、あ、当たった、はずれた、とボールの行方を眺めていて気がついたという。
的に外れたボールは、横の溝から出て来て幾つも、そこにあるのだ。
娘はそこまで行ってボールを拾い、嬉しくなって、同じく呆然と突っ立っていた同じ受験生の子どもに、「ねぇ、ねぇ、あそこにあるよ」と、ボールが横の溝から出てくることを教え、一緒に投げたという。
勿論、泣いてしまって、どんなお子さんなのか判断出来ず、不合格になった子もいただろう。
考査で、同じグループだったはずの受験番号で、張り出された紙に、番号があったのは、娘だけだった。
一緒にゲームの答を言ったり、元気に最前列でボールを投げた子は、次に進めなかったのだ。一緒にボールを拾った子も。
いつも通り、どんくさいけれど、「きっといいことがある」とその場を楽しんだ娘が掴んだ結果だった。