小学校受験7
考査に向かう。
待たされたのは、今思えば、仕切られたランチルームだった。
塾で言われた通り、半袖の子が多い。白いブラウスに紺のキュロット。紺のワンピースもいる。中には普段着のようなピンクのニットの子もいた。
本を読む子、折り紙をする子が多い。
空いている椅子に娘と並んで座ると、ポケットから、あや取り紐を出した。なぜ、あや取りにしたかというと、向かい合い、あや取りをすることで、回りの子に娘の関心がいかないようにしたかったし、荷物にならないからだ。
しばらくすると、何番から何番、と番号で呼ばれた。しきりの向こう側は広く、受験番号順に座らされた。座っていると、上級生らしい制服姿のお姉さんが迎えにきて、だいたい30人くらい毎に、手を繋いで連れて行ってくれる。娘の番号は、ちょうどその30人くらいのまん中あたり。
(あー、行っちゃった。がんばれー。)
残った親たちも、こちらへどうぞ、と言われてぞろぞろと別室へ。階段をあがり、小さめの机が並ぶ教室が用意されていた。
たぶん、教室にいたのは、30分も無かったのだと思う。
でも、長い待ち時間だった。
足音がする。
見ると上級生と娘。そして、もう一人。
先生らしき方が、「◯◯番のおかあさま~」「△△番のおかあさま~」
はい!と立ち上がると、「今日はこれで、おかえりください」と、アッサリ娘を返された。
まず、子どもありき、とは聞いていたが、本当に子どもだけみるのね、、、。
私のスーツなんて誰も気にしてないじゃん。
まあ、私の太いウェストのスーツは置いといて。
まん中くらいで呼ばれて行ったのに、一番で帰ってきた娘。
がっちり合格したのか、まるでお話にならなかったのか、ふたつにひとつなんだろう。
のったのか、そったのか。
娘を連れて「綺麗な御門」を出る。
娘は、機嫌がいい。
何をしたのか、どんなことを聞かれたのか、試験内容を聞きたい気持ちを抑えて、言ってみた。
どう?楽しかった?
すると
「うん。楽しかった。お母さん、あたしね、この小学校に決まったからね」
そう、楽しかったの、良かったね、でも、なんで決まったと思うの?
「だって、すっごくうまくいったんだもん!」
驚いて、鞄を落とすところだった。
落とすなんて、縁起でもない(泣)
でも、我が娘には時々、本当に驚かされる。娘には、受験だ、試験だ、とは言っていない。学校の名前すら教えてなかったのに、「うまくいった」だと?
まさか、高級チョコボールは、本当に魔法のボールだったのだろうか。