夜の中にある芸術
例えアルバイトでも、仕事をしてたりすると、なかなか自分の時間はないものけれど。
最近、娘が金曜日は学校から塾に寄ったりして帰りが遅くなる。
そこで、思いきって仕事の帰りに上野に向かった。
目当ては、東京都美術館で開催中の
藤田嗣治展。
過去最大の出展数だというので、特に好きな画家ではないけれど、思い立ったが吉日。
金曜日は、夜間開館をしていることが多く、若い頃もこの時間を狙ったものだ。
夜間開館は、昔は案外知っている人が少なくて、静かでゆっくり観賞できた。
今回、私が会場についたのは、通常開館の時にすると閉館ギリギリくらい、5時少し前で、チケット売り場に人はいなかったし、中も、まあまあの混み具合。(私が帰る頃の方が混んできたし、チケット売り場も長い列ができていた)
ああ、しかし、いつも、同じことに感動する。やはり、本物には圧倒される、ということ。
乳白色の藤田、とは言われるけれど、乳白色の透明感は、印刷物ではわからない奥行きがあったし、パリの空気がそこにあった。
私は、美術観賞は好きだが、昔から、観るのが早い(笑)
長い列に並んで、順番に説明文を読んでゆっくり進むことは、ほぼ無い。
今回のように、そこそこの混み具合空き具合なら、後方から、絵画は見えるし、むしろ、それくらいの距離で見る方が好みでもある。
ざーっと最後まで進み、最後に自分の「本日のお気に入り」をもう一度しばし眺めて、会場を後にするのが、定番だ。
会場をでると、美術館はライトアップされていた。
駅に向かう途中、西洋美術館の外にあるロダンの彫刻を眺める。
もう夜に飲み込まれそうになりながらも、誰もいない庭のそこに、立つ芸術。
私だけのロダン。闇に落ちる前の孤独で贅沢な空間。